クライアントインタビュー
日本M&Aセンターが出版した会計事務所のお悩みを解決する1冊。顧客の手元に残り「第一想起」を引き出す
日本M&Aセンター
日本M&Aセンター
日本M&Aセンター会計チャネル
日本M&Aセンター。会計事務所とのネットワークを通じたM&A支援に従事。会計事務所の事業承継・M&Aをはじめ、中堅・中小企業のM&A支援を手掛ける。著書『会計事務所M&A成功の法則』。書籍・セミナー・記事などを通じた情報発信にも取り組む。
所長の「知りたい」がすべて詰まっている 会計事務所M&A成功の法則
発行日:2026年2月13日
ページ数:208ページ
発行:クロスメディア・パブリッシング
発売:インプレス
M&Aは大きな決断。長期間検討するからこそ、常に身近にある書籍が第一想起のきっかけになる
——御社の事業内容と、出版に至った背景を教えてください。
日本M&Aセンターグループは、中堅・中小企業のM&A(合併・買収)を総合的に支援する会社です。経営相談から、売り手と買い手のマッチング、条件交渉、契約締結、譲渡後の支援まで一気通貫でサポートしています。
日本M&AセンターのM&A案件の多くは、金融機関や会計事務所からご紹介いただいています。私たち「会計チャネル」は、主に会計事務所から紹介いただいた案件を担当する部署です。
私は日頃、会計事務所の先生方と直接お話しし、顧問先のM&Aや事業承継のご相談を受けています。その中で、顧問先ではなく事務所の後継者不足や人材採用、経営について同じような悩みを抱える先生が多いことに気づきました。そこで、現場でいただくご相談や実際のM&A事例を一冊にまとめれば、より多くの先生方のお役に立てるのではないかと考え、『会計事務所M&A成功の法則』の出版を企画しました。
その解決策の一つが、廃業ではなく、会計事務所同士のM&Aによって事務所を次世代につなぐという選択肢です。現場で繰り返し耳にしてきた課題を整理し、「廃業以外にも、会計事務所を存続させられる方法がある」と多くの所長に具体的に知っていただける内容を目指しました。
——動画やWEBメディアなど、さまざまな情報発信の手段がある中で、書籍を選んだ理由を教えてください。
「自分が大事にしてきた事務所を売る」という決断は、そう簡単にできるものではなく、中長期で悩む方も多くいらっしゃいます。そんな中、ふとした時に本棚に置いた書籍を目にすることで、M&Aという選択肢を繰り返し思い出してもらえます。WEBメディアの情報はどうしても埋もれがちになりますが、書籍はリアルな物としてお客様の手元に残り、「想起」につながることが良さだと思っています。
——他にも出版社がある中でクロスメディアを選んだ理由を教えてください。
複数の出版社に声をかけた中で、費用だけでいえば、もっと安い出版社もありました。それでもクロスメディアさんを選んだのは、営業担当の方が、出版業界や各出版社の特徴をフラットに説明してくれたからです。書籍の活用方法や出版によって期待できる効果についても親身に相談に乗ってくださり、当社にあったプランに柔軟にカスタマイズしていただきました。
初めての出版で分からないことも多い中、質問にも丁寧かつスピーディーに回答をいただき、「一番お付き合いしたい」「実績も豊富でいろいろサポートしてくれそうだ」と感じました。実際に出版した後のフォローもあり、クロスメディアさんにお願いして良かったと思っています。
書籍で顧客が営業の話を聞きたくなる導線をつくる
——書籍の構成や内容で工夫した点を教えてください。
会計事務所というニッチな業界に向けた書籍だからこそ、「どんな構成や内容なら所長に関心を持っていただけるのか」という企画に一番悩みました。このような状況で、クロスメディアさんに相談に乗ってもらいながら、時間をかけて内容を決めていきました。
出版を企画する段階から、「本を出すこと」自体をゴールにはしていませんでした。現場で実際に使われ、会計事務所の先生との新しい対話が生まれることをゴールに、「営業担当者が所長に直接お渡しし、ツールとして活用できる本」を目指しました。そのため、税務面まで詳しく書く専門書にはせず、現場で商談のきっかけになりやすい内容や構成になるようこだわりました。
だからあえて浅く広い本にしています。譲渡金額が気になる方、M&Aのスキームを知りたい方など、所長によって関心はさまざまです。幅広いキーワードを盛り込み、「どこかに自分の知りたいことが見つかる」書籍にしました。
イメージは映画の予告編です。所長の知りたいことを短く端的に伝え、詳細は営業担当に聞いていただく。本はその導線になるよう意識しました。会計事務所の先生とのコミュニケーション形成の一助となることを目指した設計です。
——書籍を制作するうえで苦労したことはありますか?
現場で蓄積してきた知見や事例は豊富にあったので、記す内容にはあまり悩みませんでした。
一番大変だったのは、多忙な本業と並行して、取材準備や原稿確認の時間を確保することです。出版社側で定期的に取材日程を設定してもらえたので、それに合わせて、資料を集めたり、内容を整理したり、社内で事例を収集したりと準備を進めました。

全国の会計事務所に5000冊を配布。付箋を貼った1ページが契約につながった
——完成した書籍はどのように活用されていますか?
セミナーで配布したり、営業担当者が会計事務所を訪問した際にお渡ししたりしています。7000冊印刷したうち、すでに5000冊を配布しました。会計事務所は全国に3万事務所あるので、単純計算では6事務所に1冊配布したことになります。訪問先の本棚に置かれているのもよく見ますし、「本を読んだよ」と声をかけていただくこともあります。
——出版の効果や反響はいかがですか?
私から営業担当者には、「72ページに付箋を貼って持っていって」と伝えています。このページでは、大手税理士法人やコンサルティング会社などM&Aの買い手のタイプを紹介しています。私自身、営業では「すべてを説明する」のではなく、お客様が一番知りたいことから会話を始めることを大切にしています。書籍も同じで、興味を持っていただく入口をつくり、その先は担当者との対話につなげる設計にしました。
所長からよく聞かれるのは、「自分の事務所はいくらで売れるか」「誰が買い手になるのか」の2つの質問です。後者の「誰が」を分かりやすく説明しているのが72ページです。そこを読んだお客様から、「もっと詳しく聞きたい」と言われ、そこから契約につながったケースもあります。
特に反響が多いのは、「人材問題がM&Aで解決した」という事例紹介です。現場でよく聞くのが、「経験者が採用できない」「職場に定着しない」「マネジメントを任せられる人がいない」といった人材の悩みです。そこで、成功事例の最初に人材問題の事例を掲載したところ、身近な課題として受け止めていただけたようで、多くの問い合わせをいただいています。
商談数が増加し、契約にもつながっている実感があります。まだ入社1~2年目で説明に慣れていない担当者でも、お客様が関心を持ちそうな部分に付箋をつけてお渡しすることで、後から問い合わせをいただき、先輩社員を交えた次の商談につなげることができています。
また、出版を機に、業界紙やWEBメディアから問い合わせやコラムの執筆依頼をいただいて、それが結果的にお客様からの信頼を高めることにもつながっていると感じています。やはり本の持つ力はすごいなと思いました。

2冊目も検討中。出版は自社のビジョンを伝える手段
——企業出版を検討している方へメッセージをお願いします。
出版には費用がかかりますし、本業と並行して、制作の時間を確保する必要もあります。詳しく書きすぎると競合他社にノウハウを盗まれるリスクもあります。それでも、私はデメリットよりもメリットの方が大きいと感じています。
企業が出版をする意義は、ブランディングや売り上げにつながるだけでなく、「自分たちは社会にどう貢献したいのか」というビジョンを伝えられることです。今回は、「M&Aを通して、会計事務所業界の存続と発展に貢献したい」という会計チャネルのビジョンを、書籍を通じて伝えられたと思っています。
出版を迷われている企業様は、ぜひ本を出すべきだと思います。企業のスタンス(理念や社会での存在意義)を伝えることができ、経営に良い変化が生まれるはずです。
——今後の展望をお聞かせいただけますか。
これからもお世話になっている会計事務所業界を盛り上げていきたいです。高齢化や人口減少によって会計事務所が廃業すれば、そこで働く職員の方や、顧問先の企業も困ってしまいます。そうなる前に、会計事務所同士のM&Aという選択肢があることを知っていただきたいです。今回の書籍も、そのきっかけになればと思っています。
現在、2冊目の出版を検討しています。1冊目は、顧客の手元に残り、当社の想起につながるという効果があり、狙い通りでした。2冊目では、クロスメディアさんと一緒に、顧客のカスタマージャーニーを起点としたブックマーケティングプロジェクトを計画しています。
書籍から生まれるオリジナルコンテンツを活用し、展示会や営業活動で配布する冊子や、会計事務所の方から顧問先企業へ渡していただく冊子の制作も企画しています。また、当社のオウンドメディアでも、M&Aのリアルを知っていただけるような記事を発信し、ご相談につなげていきたいです。
このように、デジタルマーケティングに加え、セミナーなどのリアルマーケティングにも展開していきます。今後も、M&Aの現場で得た知見を、書籍や記事、セミナーなどを通じて発信していきたいと考えています。会計事務所の先生方にとって、M&Aが「廃業か存続か」という二者択一ではなく、事務所や職員、顧問先を次世代につなぐための前向きな選択肢になる。そのための情報と選択肢を提供できる存在を目指していきたいです。
